得意科目と苦手科目

 今年度の中学受験・高校受験も残すところ公立高校の後期と2次募集のみとなり、終盤を迎えました。高校を例に取りますと公立高校は英国数理社の主要5教科、私立高校は同じ5教科か数英国3教科で入試が行われます。生徒たちは定期試験で5教科の試験に慣れてはいるものの、受験という特別な場で、且つ緊張した雰囲気の中で制限時間内に自分の力を十二分に発揮することは難しいことです。 受験戦略の基本は、第1に教科の見極めです。もちろん5教科全てに自信があり、それなりの結果を残せるのであれば戦略などは必要ないのですが、ほとんど全てのお子さんが得意科目と不得意科目を持っています。戦略とは、まず第1にどの科目で何点くらいの得点ができるのかをしっかりと把握することです。特に3年生の2学期以降はどの中学でも入試を踏まえた総合テストを行います。実施ペースは1カ月に1回程度です。1~2回このテストを受けてみると自分の得点力のポジションがわかってきます。教科別の出来不出来もそれなりに安定してきます。その結果、自分が各教科でどの程度の点数が取れるのかという得点範囲もわかるようになってきます。 学力と睨み合わせて最終的に第1志望校を決定するのは年明けになると思いますが、本格的な受験勉強は夏休みを含めて9月にはスタートしなければなりません。年内は5教科をほぼまんべんなく学習しなければなりませんが、冬休み以降入試直前までは、得意科目での得点力アップを図るのが最も効果的です。一般的には、最後に伸びる可能性があるのは暗記を中心とする教科・分野だと言われています。確かに社会や理科、漢字、英単熟語の暗記にはそれなりの得点アップが期待できることは確かです。しかしながら、僕の経験では、受験における得意科目の取りこぼしは最も大きな打撃となります。これは精神的にも大きなマイナスとなります。できる科目は最大限まで伸ばし、それ以外の科目はそれなりにということが最も効果的な学習だと確信しています。この前提は自分の得意とする科目(他教科と比べて高得点が取れる科目)を最低2教科は作っておくことです。得意科目は自然と生まれるのではなく、自ら作り上げていくと考えたほうが良いでしょう。内容的には好きとは言えないけれど、他の科目よりは得点が高い、という教科が必ずあります。それを得意科目と位置づけましょう。 受験勉強には、いくつかの戦略が必要です。ただ闇雲にすべての教科で高い得点を期待して勉強することは得策ではありません。500点満点で500点を取る必要はありません。自分が何点を目指すのか。そしてその点数をどの教科で何点ずつ獲得するのか。そのイメージ作りが受験勉強には不可欠です。そのイメージを具体的な目標点数に落とし込んで、各教科への学習時間配分などを決めていくことが大切です。弱い科目を補えるだけ強い科目の得点力を上げることが合計点を安定させます。